台湾で⾯⽩い⽇本語がみられる要因

 

近藤優人

 

1.台湾で⾒られる⽇本語

 基本的に台北市内であればどこに⾏っても⽇本語を⽬にする機会はあり、店の看板や夜市、キッチン商品、化粧品売り場からスーパーの⾷品売り場に⾄るまで多くの場所で⾒られた。こうした⽇本語は⼤きく台湾国内の地元⺠を対象とした場合、⽇本⼈観光客のためと⼆つに分けることができる。

 まず、スーパーマーケットなどの⾷品売り場で⾒られる⽇本語などは台湾国内に住む地元⺠が読み⼿とされている。商品名は中国語で書かれているものが多かったためある。

 反対に夜市における⽇本語は主に観光客のために使⽤されているものであった。これらの場所では多くの場合⽇本語に加え、英語や韓国語などの外国語も同様に多く⾒られたことから、観光客を読み⼿と設定していることが分かる。また飲⾷店でも、⽇本語を含む複数の⾔語でメニューを記載している場所も多く⾒られた。また、マッサージ屋の看板では⽇本語で説明が書かれていることが特に多かった。台湾のマッサージは⽇本⼈の⼈気の観光スポットとなっているそうだ*1。このことからマッサージ屋で頻繁にみられる⽇本語は、⽇本観光客向けのものだとわかる。

 

2.使⽤理由

 そもそも台湾で⽇本語が多く⾒られる理由には台湾が親⽇国の⼀つであることや、⽇本統治時代、⽇本の科学技術⼒が⼤きく影響している。訪⽇ラボによると台湾⼈の84.6%が⽇本に対して好感を持っているそうだ*2。親⽇国である要因には⽇本統治時代のインフラ整備などが結果的にではあるものの、台湾の経済成⻑に貢献したことが挙げられる。

 もう⼀つの⼤きな要因としては、⽇本語や⽇本製品に台湾⼈のイメージだ。台湾の経済成⻑に結果として貢献したことにより、⽇本の技術は進んでいるというイメージがある。さらに⽇本語はおしゃれ、⽇本製品は⾼品質というイメージがあることから⽇本製品に似せた商品や製品パッケージなどが多くみられる*3。このように台湾国内では多くの⽇本語がアイコン、記号として⽤いられている。

 

3.なぜ⾯⽩い⽇本語が多く⾒られるのか

 先⾏情報通り台湾には⾯⽩い⽇本語があふれていた。ブログなどでは⽇本語の誤字や誤った表現などがネタとして扱われているが、なぜ⾯⽩い⽇本語が⽣まれてしまうのか。実際に台湾で⼆週間⽣活したなかで感じたのは、台湾社会で⽇本語は⾼品質や好印象の記号として使⽤されており、誤⽤は⼤きな問題になっていないということだ。

 そもそも台湾⼈をターゲットとしているならば、⽇本語の正誤は重要ではない。例えば夜市では変な⽇本語が特に多く⾒られた。多くのは翻訳機によるもので、実際に商品を⾒て売り⼿とも直接会話を出来る場合、精度の⾼い⽇本語の重要度は低くなる。また⾃動翻訳機によるミスというよりは形の似た⽂字間での誤字や、脱字などを含んだ⽇本語が多く⾒られ、おそらく単なる書き間違いであろうというものも多くみられた。このことは夜市以外で⾒られた⽇本語にも該当することである。

 ⽇本国内で⾒られる英語にも⾔えることだが、売り⼿もそこまで間違いを気にしていない。気づかない場合も多いだろう。さらにいえば、中国語が⼀緒に記載してあるものに関してはいちいち⽇本語で何が書いてあるか意識して読もうとする台湾⼈はそう多くないと思われる。

 

4.まとめ

 このように、台湾で⾯⽩い⽇本語が⽣まれる⼀つの要因には読み⼿を台湾国内の地元⺠に設定していることや、⾔語としてではなくむしろ記号として使⽤されているものがほとんどであるために、地元⺠が間違いなどに特に気を⽌めていないことがあるといえる。

 

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参考⽂献

太陽餅2021「台湾で⽇本語はどのくらい通じるか」『台湾情報壱番館』

訪⽇ラボ編集部「なぜ台湾には親⽇家が多いのか/⽇本との歴史が友好関係に影響・海外旅 ⾏では3⼈に1⼈が⽇本へ」 『訪⽇ラボ』

葛⻄健⼆「「⼿觸りは倍増した視覚は享受した」台湾に溢れる⽇本語と”差不多”精神」 『電⼦⽡版』

*1:太陽餅2021「台湾で⽇本語はどのくらい通じるか」『台湾情報壱番館』台湾情報壱番館

*2:訪⽇ラボ編集部2020「なぜ台湾には親⽇家が多いのか/⽇本との歴史が友好関係に影響・ 海外旅⾏では3⼈に1⼈が⽇本へ」『訪⽇ラボ』株式会社mov

*3:葛⻄健⼆2020「「⼿觸りは倍増した視覚は享受した」台湾に溢れる⽇本語と”差不多”精神 」『電⼦⽡版』